オーストラリア政府は5月13日に、2027年度の予算案を発表し、その中で見込まれているのが資本利得税(Capital Gains Tax,CGT)の改革です。すなわち、長期投資資産(暗号資産を含む)に対する「保有1年で50%の割引」仕組みを廃止し、物価指数に連動した実質利得課税モデルを採用します。Cointelegraphが引用した現地メディアの報道によれば、新制度は2027年7月に正式に施行される予定です。
50%割引を廃止し、「インフレ後の実質利得」を算定
現行制度の中核は、オーストラリアの個人または法人が株式や暗号資産などの資産を12カ月保有したのちに売却する場合、その資本利得は50%だけが課税所得に計上されることです。この割引によって、長期保有者は実質的に税率が半減する恩恵を受けています。
アンソニー・アルバニージー(Anthony Albanese)政権が提案する新制度では、こうした50%割引が直接的に廃止され、物価指数による調整モデルが採用されます。つまり今後の課税基礎は、「売却価格から購入価格を差し引き、さらに同期間のインフレを控除した実質利得」です。長期保有者にとっては、インフレが資産の上昇幅を下回る場合、新制度の課税基礎は現行の50%割引の課税基礎よりも高くなります。
移行期間:5月10日が分岐点、2027年7月に実施
新制度の施行スケジュールには2つの区切りが設定されています。
2026年5月10日以前に購入した資産:旧制度に基づく50%割引の保護を一部維持。
2026年5月10日以後に購入した資産:1年間の移行期間があり、その後は新制度を全面適用。
2027年7月:新制度が正式にスタート。
この設計は実質的に、2026年5月10日を「旧制度の保護を受けられる最後の買い入れ日」と位置付けています。さらに、今後1年以内に購入する人も、2027年7月以降は新制度で算定する必要があります。
暗号資産投資家への具体的な影響
台湾やアジアの読者にとって比較的なじみが薄いのは、オーストラリアが暗号資産の税務認定を「通貨(currency)」ではなく「資産(asset)」のロジックで一貫して行っており、暗号資産の売買はすべてCGT(資本利得税)体系に組み込まれることです。そのため今回の50%割引の廃止は、長期でBTCやETHを保有してきた人が過去最大級の税務上の優遇を直接失うのと同等です。
メディア報道によれば、この改革がもたらす潜在的な副作用として、市場では「自宅住宅がCGTの完全な免除を受けるため、新制度は投資資金をさらに不動産市場へ押し出し、その結果としてオーストラリアの住宅負担問題をむしろ悪化させる可能性がある」と指摘されています。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の財税学者も4月にコメントを発表し、「割引の割合を“わずかに調整する”だけでは不十分で、CGTの枠組み自体を全体的に作り直すべきだ」と述べています。
5月13日の予算案発表後は、次の3点に注目できます。割引が完全に廃止されるのか(あるいは33%、25%のようにより低い比率で残るのか)、インフレ指標としてCPI(消費者物価指数)を選ぶのかそれとも別の指標か、そして実際の法案が国会で順調に可決されるかどうかです。オーストラリアは英米法系のもとで重要な暗号資産税務の参照国であり、この改革の結果は、今後の他の法域での関連議論にも影響しうると考えられます。
この記事「オーストラリアは長期保有の50% CGT割引を廃止:暗号資産はインフレ後の実質利得で算定へ」は、最初に「鎖新聞ABMedia」に掲載されました。
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