《賽馬娘》開発元CygamesはAI子会社Cygames AI Studioを設立し、ゲームやアニメ専用の小型AIモデルの研究開発を行い、詠唱師やエンジニアの積極採用を進めている。実はCygamesの親会社はすでに生成式AIを積極的にコンテンツ制作に採用している。
《ウマ娘 プリティーダービー》で知られる日本の大手ゲーム会社Cygamesは、最近「Cygames AI Studio」という子会社を設立したと発表した。同社の目標は、AIを開発しツールを提供することで、クリエイターの創造性を拡張できる循環システムを構築することにあり、単に作業効率を向上させるためのツール開発だけにとどまらず、過去の開発経験を基に、クリエイターが安心して使用できるAI技術の追求を目指している。
技術戦略として、Cygames AI Studioはゲームやアニメなどエンターテインメント用途向けの小規模言語モデル(SLM)と潜在拡散モデル(LDM)の開発を進めている。
画像出典:X ウマ娘開発元CygamesがAI子会社を設立、小型モデルに注力
ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデル(LLM)は大量の作品を学習し、著作権や版権の問題が浮上している。そのため、筆者はCygamesが自社でAIモデルを研究開発する理由は、関連する論争を回避するためではないかと推測している。
Cygames傘下には、『ウマ娘』のスマホゲームや関連アニメのほか、MAPPAと共同制作した『佐賀偶像は伝説』や、オリジナルのテレビアニメ『終末後ホテル』などのIPもある。
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同時に、Cygames AI Studioは採用情報も公開し、現在AI画像生成の専門家(aks AI詠唱師)、強化学習エンジニア、言語モデルエンジニアなど複数の職種を募集している。
募集内容によると、AIエンジニアはグループ内のデータを用いてモデルの訓練や微調整を行い、エンターテインメント分野の品質・権利・安全性の要求を満たすコンテンツを生成する必要がある。
特に画像生成に関しては、Cygames AI Studioは低遅延やさまざまなデバイス環境に適応できるモデルの改善に取り組める人材を求めており、自社開発のAIをゲーム制作現場に深く統合する意向を示している。
画像出典:Cygames AI会社採用ページ Cygames AI会社がAI詠唱師・AIエンジニアを募集
Cygamesだけでなく、その親会社のCyberAgentもすでに生成式AIの映像・エンターテインメントへの応用を拡大している。
《ITMedia》によると、日本のテレビ局とCyberAgentは今年1月初めに、生成式AIを補助的に用いて制作されたテレビドラマ『TOKYO 巫女忍者』を放送した。ただし、主要な役は引き続き実写俳優やモデルが担当している。
『TOKYO 巫女忍者』のAI日劇は、CyberAgent傘下の「極AI台場スタジオ」と、『8号出口』映画版の制作に関わった映像制作会社AOI Proが共同制作し、VFXはTREE Digital Studioが担当した。
画像出典:TOKYO 巫女忍者プレスリリース Cygames親会社がAIを積極的に導入し、AI日劇『TOKYO 巫女忍者』を制作
日本のゲーム産業は生成式AIへの態度を見守りから積極導入へと転換しており、CEDEC 2025開発者大会では複数の大手企業がAI応用例を公開した。
カプコン(Capcom)は、『モンスターハンターライズ』開発時に、Google GeminiやImagen 2などのモデルを導入し、ゲーム内ポスターやステッカーなどの美術素材のアイデア出しを加速させ、コンセプトデザインの効率化を図った。
SEGAは内部のAI利用環境を構築し、オンラインゲーム内のプレイヤーの不適切な発言をフィルタリングしてコミュニティ管理の効率化を進めている。また、Cygamesも過去にAIを用いてプレイヤーのSNS投稿トレンドを分析したことがある。
一部の生成式AIの応用には著作権の懸念もあるが、『星のカービィ』のプロデューサー櫻井政博の言葉通り、ゲーム開発はすでにAIを活用して作業工程を変革する段階に入りつつあり、効率向上と高品質な体験の維持のバランスを取ることが今後の主要課題となる。
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