なぜ史上最高の決算を出した英偉達(NVIDIA)は、史上最大の暴落を招いたのか?NVDAの「計算力金融学」を理解するための一篇

作者:137Labs

2026年2月25日、世界最大のAIチップ企業であるNVIDIA(NVDA)は、2026会計年度第4四半期(2026年1月25日まで)および通年の決算を発表した。売上高、利益、データセンター収入はほぼ全て予想を上回り、次の四半期の見通しも引き続き上方修正された。伝統的な「業績が株価を動かす」という論理に従えば、このような決算は上昇の確実性を示すことになる。

しかし、市場は逆の反応を示した。決算発表の翌日、NVDAの株価は約5.46%下落し、「1日で約2600億ドルの時価総額が蒸発した」と広く報じられた。堅調なファンダメンタルズと弱い株価の乖離は、単なる「業績の真贋」ではなく、資本市場の価格付けの重心が「当期利益」から「成長の持続期間」「資本支出の斜率」「構造的リスク」へと移行していることを示している。

一、決算を確定させる:どれほど強いのか?

NVIDIA公式の発表によると、2026会計年度の第4四半期と通年の主要データは以下の通り。

・第4四半期売上高:681.27億ドル(前年比+73%、前期比+20%)
・第4四半期データセンター売上:623億ドル(前年比+75%、前期比+22%、記録更新)
・第4四半期GAAP純利益:429.60億ドル;非GAAP純利益:395.52億ドル
・通年売上高:2159.38億ドル(前年比+65%)
・通年GAAP純利益:1200.67億ドル
・次四半期(2027会計年度Q1)見通し:売上約780億ドル(±2%)

これらのデータは二つのことを示している。一つは、AIインフラ需要は依然として強力な拡大段階にあること。もう一つは、英偉達の収益構造がさらに「データセンター一エンジン」へと集中しつつあることだ。

二、強みがリスクの一点集中に変わる:データセンターの比率が高すぎる

決算の目立つ点、そして市場が最も敏感に反応した点は、Q4のデータセンター売上が623億ドルで、総売上の約91.5%を占めていることだ。これは、英偉達がほぼ成長を「AI資本支出サイクル」に全面的に賭けていることを意味する。クラウド事業者、国家、巨大企業の計算能力投資が盛んになるほど、英偉達は高速成長マシンのように見える。一方、資本支出が拡大から収束に向かえば、その振れ幅も同時に拡大する。

また、非データセンター事業も成長しているが、これだけでは十分なヘッジにならない。自動車、ゲーム、プロフェッショナルビジュアライゼーションなどの事業は、規模がデータセンターと比べて小さく、例えば自動車事業の四半期売上は約6.04億ドルに過ぎず、データセンターのサイクル変動を十分に抑えられない。この構造は、強気の市場では「高効率」と見なされるが、感情の転換点では「単一エンジン依存」の評価低下に直結する。

三、顧客集中度の上昇:少数の顧客が支配権を握る

市場では、英偉達の顧客構造を「五大クラウド事業者が売上の半以上を占める」と一般化している。2026会計年度の売上集中度は上昇し、2つの顧客が合計36%の売上を占めていると指摘されている。これは、英偉達の超成長が少数の超大手顧客と深く結びついていることを示す。

この結びつきは、両刃の剣となる。

・上昇局面:主要顧客の拡大が速いほど、英偉達は「徴税」できる。

・下降局面:主要顧客の資本支出が鈍化すれば、英偉達の受注と評価も同時に圧迫される。

・より隠れたリスクは、交渉力の変化だ。顧客が第二の供給者や自社開発にシフトし始めると、英偉達の「独占プレミアム」は「リーディングプレミアム」に縮小される。

決算後の株価下落は、「成長集中と交渉力移行」のリスクを市場が事前に織り込んだ結果とも言える。

四、なぜ「予想超え」が逆効果になるのか?価格付けの視点が短期から長期へ

英偉達は複数四半期連続で予想を上回る好決算を出しているが、「予想超え」自体のサプライズ効果は次第に薄れている。決算前に資金はポジションやデリバティブを通じて「強い決算」を十分に織り込んでおり、その結果、典型的なトレードの結末は、「決算が強くても、既存のストーリーを超える新たな増量がなければ」利益確定につながる。

こうした動きは、「好材料の実現」として現れることが多い。市場が2027年以降の長期成長を期待している場合、決算で最も重要なのは「今期の爆発的な数字」ではなく、「成長がどれだけ長く続くのか」「どのような構造で維持されるのか」「どのような競争環境下で維持されるのか」だ。長期的な確実性が欠如していると、「ファンダメンタルズは強いが株価は弱い」という異常な組み合わせが生まれる。

五、AIバブルは偽りの命題か?資本支出と信用の再評価に近い

「AIバブル」はしばしば「AIには価値がない」と誤解されることがある。より正確な見方は、「AIの価値は疑いないが、投資とリターンの時間軸のミスマッチが厳しく評価されている」というものだ。

クラウド事業者のAI資本支出は引き続き拡大し、投入規模は巨大だが、商業化のリターンはまだ上昇段階にある。高金利や収益圧力の中、市場は自然に問いかける。「この膨大な計算能力投資はいつ収益化されるのか?」と。短期的に「投資はしても稼ぎは出ない」状態が続けば、上流の算力供給者の評価も見直される。

これは暗号資産業界のサイクルとも似ている。インフラ拡張はしばしばアプリケーションの実現より先行し、「供給拡大」が「需要実現」より早いとき、価格や評価は感情に非常に敏感になる。AIも同じ段階にあり、ただし今回は「帳簿」がブロックチェーン上ではなく、クラウド事業者や半導体大手の決算に現れている。

六、競争の真の脅威:単に「GPUを作れる人」ではなく、「顧客が一つだけ買いたくない」こと

長らく英偉達はGPUの優位性とCUDAエコシステム、システムソリューションによる防御壁を築いてきた。しかし、競争の本質的変化は、特定の企業の単点突破ではなく、顧客側の構造的なシフトにある。具体的には、第二の供給者の導入、自社開発のチップ、システムによる単一カードの代替だ。

1)AMD×Meta:第二供給者戦略の制度化

MetaとAMDは長期の高額契約を締結しているが、これは単に市場シェアを即座に変えるためだけではなく、超大手顧客が確定的な注文を通じて代替案を支援し、単一供給者依存を減らすシグナルでもある。この戦略の直接的な結果は、英偉達の交渉力が将来的に低下し、評価プレミアムが縮小することだ。

2)推論時代の到来:計算能力競争は「訓練」から「コストと遅延」へ

AI産業の焦点は、コスト無視の訓練からコスト敏感な推論へと移行している。推論はスループット、遅延、エネルギー消費、単位コストに焦点を当て、より細分化された新たなアーキテクチャプレイヤーが登場しやすい。英偉達は推論関連技術やチーム(例:推論用チップ企業Groqとの技術ライセンスや人員統合)を導入し、短所を補っている。これにより、推論時代の競争は「チップ性能」から「システム全体の効率」へと拡大している。

七、英偉達の第二の曲線:クラウド計算から物理世界のオペレーティングシステムへ

英偉達を単なる「GPU販売会社」とみなすと、その戦略の深さを見誤る。決算サイクルの中で、英偉達は自動運転、ロボット、産業用シミュレーションなどの「物理AI」分野のプラットフォーム化を推進し、オープンソースの自動運転推論や安全検証の能力(例:Alpamayo)も展開している。この流れは短期的には限定的な貢献だが、方向性を示すものだ。すなわち、「ハードウェアを売る」から「オペレーティングシステムレベルの基盤を提供する」へと進化させ、顧客を「ハード購入」から「プラットフォームとエコシステムの購入」へとロックインする。

このプラットフォーム化が成功すれば、英偉達の成長の持続期間は、クラウド事業者の資本支出だけに依存しなくなり、産業のデジタル化、産業用ロボット、自動運転などの長期需要により左右されることになる。ただし、この第二の曲線が本格的に規模を拡大するまでは、市場は依然として「データセンター一エンジン+資本支出サイクル資産」の枠組みで評価し続けるだろう。

八、2026年の重要な変数:株価を決めるのは三つの曲線、利益表ではない

2026年の英偉達の評価の中心を決めるのは、「今後も成長できるか」ではなく、「成長はどれだけ長く続き、どのような構造で維持されるのか」だ。市場は主に次の三つの検証可能な曲線に注目している。

1)クラウド事業者の資本支出の斜率:加速し続けるのか、それとも減速するのか?
2)推論収入の構造とシステム化の浸透:GPUからシステム全体(ネットワーク、ソフトウェア、プラットフォームツール)への移行は粘着性と顧客価値を高め続けるか?
3)第二供給者と自社開発の浸透速度:代替案が試験段階から規模採用に進む速度が速まるほど、英偉達のプレミアムは圧縮されやすい。

結び:決算は計算能力神話の継続を証明したが、価格付けは「長期性の審判」へ

この決算は、AIインフラ熱は依然として続いており、英偉達は最も強力な計算能力のキャッシュフローマシンであることを示している。しかし、株価の下落は、市場に対して「爆発的な数字」が常態化したとき、価格付けの論理が成長のスピードから持続性へ、利益から成長の持続期間へ、独占プレミアムから競争構造へとシフトしていることを警告している。

決算後の調整は、必ずしもファンダメンタルズの逆転を意味しない。むしろ、評価の重心が移動しただけだ。英偉達は依然として強いが、真の試練は「どれだけ長く成長を維持できるか」「構造をより安定させられるか」にかかっている。この答えが、2026年の英偉達の評価の限界を決め、AI資産のリスク志向にも影響を与えるだろう。

原文表示
このページには第三者のコンテンツが含まれている場合があり、情報提供のみを目的としております(表明・保証をするものではありません)。Gateによる見解の支持や、金融・専門的な助言とみなされるべきものではありません。詳細については免責事項をご覧ください。
  • 報酬
  • コメント
  • リポスト
  • 共有
コメント
0/400
コメントなし
  • ピン